開成中学の場合の数・試行検証|3年連続15%から「試行検証」23.5%への発展
*Alternative Study 編集部 | 2026年4月公開*
「場合の数の問題で、書き出している途中で時間切れになる」「場合分けの抜け漏れが常に発生する」——場合の数は、計算力より網羅性と論理的整理が試される単元です。開成算数では2023〜2025年に3年連続で15%の配点を占め、2026年度入試では大問2「試行検証」(20点・23.5%)という場合の数と論理推理が融合した形へ発展しました。
この記事では、開成算数における場合の数の位置づけ・2026年度「試行検証」問題の分析・場合の数の3大アプローチ・苦手な子が合格する判断軸を、公式データと開成卒の講師視点で整理しました。意見や推奨は含まず、判断材料を並列で提示することを目的としています。
開成入試での場合の数 ― 3年連続15%、2026年度は「試行検証」へ発展
過去4年の開成算数における場合の数の出題比率を整理します。
年度 | 場合の数の配点比率 | 試行検証 | 論理系合計 |
2023 | 15% | ― | 15% |
2024 | 15% | ― | 15% |
2025 | 15% | ― | 15% |
2026 | ―(単独大問なし) | 23.5%(20点) | 23.5% |
出典: Z会受験情報ナビ、コベツバ中学受験解体新書(各年度入試分析)
2023〜2025年は場合の数が毎年15%(85点中13点相当)を占め、最も安定した単元の一つでした。2026年度は単独の大問こそありませんが、場合の数の発展形である「試行検証」が大問2(20点)で出題されており、論理系の出題は途切れていません。
2026年度は従来型の場合の数に代わり、「試行検証」というカテゴリで23.5%(20点)が出題されました。試行検証は「条件を整理し試行錯誤で解く論理推理問題」(コベツバ分析)で、場合の数の場合分け網羅の発展形と位置付けられます。論理系問題の配点は15%から23.5%へ拡大した形です。
講師視点(開成卒・東大理I、要・実講師差替え)
「場合の数は『開成で必ず出る単元』として、私が指導してきた生徒全員に重点対策を推奨してきました。毎年15%という安定性は、開成が『論理的に網羅する力』を測りたいというメッセージの表れだと理解しています」
2026年度大問2「試行検証」 ― 場合の数との関係
2026年度入試で大問2として出題された試行検証問題の特徴を整理します。
項目 | 内容 |
難易度 | C(発展) |
配点 | 20点(85点中の23.5%) |
出題タイプ | 論理 |
内容 | 条件を整理し試行錯誤で解く論理推理問題 |
必要な力 | 条件の網羅的検討、場合分けで漏れなく処理 |
出典: コベツバ中学受験解体新書 2026年開成算数入試分析
試行検証と「場合の数」の違い
従来の「場合の数」が数えることを最終目的としていたのに対し、試行検証は可能性を絞り込んで正解に到達することが目的です。
場合の数: 「何通りあるか」を数える問題
試行検証: 「条件に合うものはどれか」を絞り込む問題
両者は場合分けと網羅性を必要とする点で共通しており、試行検証は場合の数の発展形として位置付けられます。
2026年度に試行検証が独立カテゴリとして登場したのは、開成が「単に公式を使って数える」レベルから「条件を整理して可能性を絞り込む」レベルへと要求を引き上げたシグナルと読めますが、2027年度にも同型が続くかは現時点では判断できません。
場合の数の3大アプローチ ― 解法の体系整理
中学受験の場合の数は、解法のアプローチで大きく3つに分類できます。どのアプローチを選ぶかで、解く時間と正答率が大きく変わります。
アプローチ1: 書き出し
全パターンを紙に書き出して数える方法。最も基本的で、小さい数(10〜30通り)の問題に有効です。
メリット: ミスが起きにくい、公式を覚える必要がない
デメリット: 数が多くなると時間切れになる、書き漏らしのリスク
開成での出題: 書き出しで解くべき問題と、計算で解くべき問題が混在する傾向
アプローチ2: 樹形図
選択肢を枝分かれで整理していく方法。条件付きの問題や段階的な選択を要する問題に有効です。
メリット: 場合分けが視覚化できる、漏れに気付きやすい
デメリット: パターン数が多いと書ききれない
開成での出題: 条件付き組合せ、サイコロ3個以上の問題で頻出
アプローチ3: 公式(順列・組合せ)
P(n,r)、C(n,r)などの公式を使う方法。数が大きい問題や計算で速く解くべき問題に有効です。
メリット: 速く計算できる、大きな数でも対応可能
デメリット: 公式が当てはまらない問題に気付かないと誤答になる
開成での出題: 純粋な順列・組合せはあまり出ず、応用的な場合分けと組み合わされる傾向
アプローチの使い分け
開成算数の場合の数で問われるのは、3つのアプローチを問題に応じて使い分ける判断力です。書き出しで解ける問題を公式で無理に解こうとしたり、逆に書き出しでは間に合わない問題を書き出しで始めて時間切れになるケースが、受験生の失点パターンとして多く見られます。
講師視点(開成卒・東大理I、要・実講師差替え)
「場合の数で伸びる子と伸び悩む子の差は『最初の5秒でどのアプローチを使うか判断できるか』に集約される印象があります。指導では、問題を読み終えた瞬間に『書き出しか、樹形図か、公式か』を宣言させる訓練を繰り返します。この判断が自動化すると、正答率が一気に上がる子を何人も見てきました」
開成で頻出の場合の数パターン
開成算数の場合の数で出題される典型パターンを整理します。
パターン1: 条件付き組合せ
「A・B・Cの3人から2人を選ぶが、AとBは一緒に選べない」のような条件付きの選択問題。全体から条件違反を引く余事象の考え方が使えるかが問われます。
パターン2: 場合分けの網羅
「サイコロを3個振って出目の合計が10になる組合せは何通りか」のような、場合分けで網羅する問題。漏れなく・重複なく数える訓練が鍵です。
パターン3: 順列と組合せの融合
「8人を4人ずつ2チームに分ける分け方は何通りか」のような、組み合わせと順列の違いを正確に区別する問題。2で割るかどうかの判断が失点ポイントになります。
パターン4: 経路数
「格子状の道を左上から右下まで最短で進む経路は何通りか」という経路問題。重複組合せや二項係数の考え方が使われます。
パターン5: ゲーム・コイン・サイコロの論理
「1から6の目のサイコロを3回振り、合計が偶数になる確率」のような、確率と場合の数の融合問題。開成では確率そのものより場合分けの網羅として出題される傾向があります。
場合の数が苦手な子の典型パターン
指導現場で見られる「場合の数が苦手な子」のパターンを整理します。
パターン1: 書き出しを始める前に手が止まる
問題を読んでも、どう書き出せばいいか整理できない子。アプローチ選択の判断ができていない状態です。
対策の方向性: 問題を読んだら5秒で「書き出し/樹形図/公式」のどれで解くか宣言する訓練。判断軸を言語化する。
パターン2: 書き出しで漏れる・重複する
書き出しを始めたものの、順序を決めずにランダムに書いて、結果として漏れや重複が発生する子。
対策の方向性: 「小さい順に書く」「辞書式に並べる」など書き出しのルールを決めて徹底する。
パターン3: 場合分けの階層が整理できない
「条件A」と「条件B」の両方が関わる問題で、どちらを先に場合分けするかの判断ができず、解法がぐちゃぐちゃになる子。
対策の方向性: 場合分けの樹形図を必ず描く。頭の中だけで処理しない。
パターン4: 公式の適用条件を誤る
順列・組合せの公式を覚えたものの、いつ適用できるかの条件を理解していないため、誤った公式を当てはめる子。
対策の方向性: 公式を暗記する前に、なぜその公式が成立するのかを説明できるようにする。
講師視点(開成卒・東大理I、要・実講師差替え)
「場合の数が苦手な子を指導するとき、私はまず『書き出しができる状態』を徹底的に作ります。公式を覚える前に書き出しで小さな問題を何十問も解き、そこで『この問題は公式で解いた方が速い』という実感が生まれてから公式に移行する順序です。逆の順序(公式を先に覚える)で始めた子は、書き出しでの網羅性が最後まで育たない印象があります」
苦手なままで合格できるか ― 3つの判断軸
判断軸1: 場合の数系15〜23.5%の配点をどう捉えるか
2023〜2025年の場合の数の配点は15%(85点中13点相当)、2026年度は試行検証として23.5%(20点)でした。場合の数系で40〜50%の部分点しか取れない場合、7〜10点の失点となります。この7〜10点を他単元でカバーできるかが判断軸の一つです。
合格者平均55点前後を狙う場合、場合の数が苦手でも他の単元(速さ・立体図形・数の性質)で8〜9割の正答率を維持できれば合格ラインへの到達は可能です。
判断軸2: どの苦手パターンか
場合の数が苦手な4パターン(アプローチ選択・書き出しの漏れ・場合分け・公式の誤適用)のうち、アプローチ選択と書き出しの漏れは訓練で改善する余地が大きい一方、場合分けの階層整理は時間がかかる傾向があります。
小6秋時点でどのパターンで躓いているかの特定が、残り時間を何に投資するかの判断材料になります。
判断軸3: 2026年度の試行検証への対応
2026年度の「試行検証」(C難度・20点)は、場合の数の発展形として位置付けられます。2027年度も同型が出題される可能性を織り込むなら、論理推理・条件整理のトレーニングに時間を投資する選択肢があります。
一方で、「試行検証は単年度の変化で、2027年度は出題形式が戻る」という想定で従来通りの配分で進める選択肢もあります。
場合の数対策で使われている教材
開成志望者が場合の数対策で用いている代表的な教材を整理します。
教材 | 出版 | 使い方(一般的な目安) |
中学への算数(月刊誌) | 東京出版 | 場合の数特集号(年1〜2回)を重点的に |
プラスワン問題集 | 東京出版 | 典型パターンの網羅 |
算数プラスワン問題集 | 東京出版 | 開成特有の論理問題・場合の数対策 |
予習シリーズ算数 6年 | 四谷大塚 | 塾の副教材 |
開成中学校 算数 過去10年分 | 声の教育社 | 場合の数が出た年を重点周回 |
出典: サカセル、コベツバ中学受験解体新書、各塾の一般的な指導
よくある誤解と事実
誤解1: 「場合の数は公式を覚えれば解ける」
事実: 開成算数の場合の数は、公式が直接適用できる問題はむしろ少数派です。4年間の出題で、純粋な順列・組合せの単独出題は稀で、条件付き・場合分け・論理推理の融合問題が大半を占めます。公式を覚えることは必要ですが、応用力・判断力がより重視されます。
誤解2: 「書き出しは時間がかかるから使ってはいけない」
事実: 書き出しは少ない数の問題や漏れを防ぎたい問題で最も確実な方法です。時間配分の中で「この問題は書き出しで2分以内に終わる」と判断できれば、公式より安全で速いケースが多々あります。
誤解3: 「場合の数で満点を取らないと開成は無理」
事実: 2026年度の合格者平均は85点中54.8点(得点率64.5%)。場合の数で部分点のみでも、他で取れば合格ライン(205点)に届きます。
誤解4: 「試行検証は2026年だけの特殊な問題」
事実: 試行検証は2026年度に初めて独立カテゴリとして出題されましたが、論理推理・条件整理の考え方自体は過去年度の場合の数問題にも含まれていました。2027年度にも何らかの形で同系統の出題がある可能性は否定できません。
FAQ
Q. 場合の数が苦手で、書き出しばかりしています。公式を覚えるべきですか?
A. 小6の段階で書き出しが確実にできているなら、公式は後回しでも問題ないケースがあります。ただし書き出しに時間がかかる問題(パターン数が多い)が本番で出た場合、時間切れのリスクが高まるため、基本的な順列・組合せの公式は覚えておくことが多くの指導で推奨されます。
Q. 場合分けの漏れを防ぐ具体的な方法はありますか?
A. 場合分けを始める前に「何を基準に分けるか」を紙に書く方法が広く使われています。例: 「最大値で場合分け」「偶数・奇数で場合分け」「位置で場合分け」。基準が明確なら、その基準ごとに漏れがないかチェックしやすくなります。
Q. 2026年度の「試行検証」のような問題は、どう対策すればいいですか?
A. 試行検証は論理推理パズルの要素が強いため、一般的な場合の数問題集より算数オリンピック対策の問題集やパズル系問題集が対策教材として使われることがあります。ただし試行検証の出題形式は確立されたものではないため、条件整理と場合分けの基礎を徹底する方が汎用性が高いと考えられます。
Q. 塾の場合の数の授業だけで開成に対応できますか?
A. 塾の集団授業は典型パターンを網羅しますが、個別の躓きパターン(アプローチ選択・書き出しの漏れ・場合分け・公式の誤適用)への対応は限定的です。過去問演習で繰り返し同じパターンで失点する場合、家庭学習または個別指導での補強が推奨されます。
Q. 場合の数は小6のいつから本格的に始めるべきですか?
A. 大手塾のカリキュラムでは、場合の数は小5後半〜小6前半で集中的に扱われる塾が多く、小6秋以降は過去問演習で応用力を養う流れが標準的です。小6秋時点で基本パターンが定着していない場合、過去問演習と並行して基礎教材(プラスワン問題集等)の場合の数章を復習することで補強する選択肢があります。
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*本記事の数値データは、開成学園公式入試要項・コベツバ中学受験解体新書・Z会受験情報ナビ・各塾公式サイトから2026年4月時点で収集したものです。場合の数の解法分類は中学受験算数の指導で広く共有されている手法に基づきます。*
*本文中の「講師視点」は、開成卒業の現役東大生講師による発言を想定した記述です。公開前に実講師の発言で差し替えることが前提となっています。*





