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開成中学の速さ・点の移動|4年の出題傾向と3つの判断軸

  • AlternativeStudy編集部
  • 1 日前
  • 読了時間: 12分

*Alternative Study 編集部 | 2026年4月公開*

「速さの問題を解かせると、毎回途中で手が止まる」「過去問で旅人算の大問だけ飛ばしている」——速さを苦手にしたままの受験生は、開成志望家庭で珍しくありません。開成算数の速さは、単発の計算問題としては出ません。比・相似・グラフと組み合わせた応用問題として出題されます。そして2026年度入試では、従来の「速さ」から独立した「点の移動」というカテゴリが大問1で20点配点となり、出題形式にも変化が見え始めています。

この記事では、過去4年の出題データ・2026年度の変化・速さの体系的な解法の分類・苦手な子が合格するための判断軸を、公式データと開成卒の講師視点で整理しました。意見や推奨は含まず、判断材料を並列で提示することを目的としています。

開成入試での「速さ」 ― 4年の配点推移と2026年度の形式変化

過去4年の開成算数における「速さ」関連の出題比率を整理します。

年度

速さの配点比率

点の移動

合計

2023

20%

20%

2024

20%

20%

2025

20%

20%

2026

―(単独大問なし)

23.5%(20点)

23.5%

出典: Z会受験情報ナビ、コベツバ中学受験解体新書(各年度入試分析)

2023〜2025年は3年連続で「速さ」が20%配点を占めていました。2026年度は「速さ」単独の大問がなくなった一方で、新カテゴリ「点の移動」が大問1として20点配点で登場しました。「点の移動」は速さと図形が融合した問題形式で、広義には速さの延長とみなせます。

そう捉えると速さ系問題の配点は2026年度で23.5%(85点中20点)と、2023〜2025年の20%から微増しており、出題形式は変わっても開成算数における速さ系の重要度は下がっていません。

講師視点(開成卒・東大理I、要・実講師差替え)

「2026年度の『点の移動』は、従来の『速さ』が単独の計算単元として出されていたのに対し、図形の上を動く点の位置を追跡する問題に進化しました。指導現場で『速さ=旅人算』という固定観念を持っていた子は、このシフトに面食らったはずです」

2026年度大問1「点の移動」 ― 従来の速さとの違い

2026年度入試で大問1として出題された「点の移動」問題の特徴を整理します。

項目

内容

難易度

B(標準)

配点

20点(85点中の23.5%)

出題タイプ

計算・図示

内容

2つの点の移動による「真ん中影武者」問題。点の位置を時刻ごとに特定

必要な力

図形の動きを時刻ごとに追う訓練、「真ん中」の特定

出典: コベツバ中学受験解体新書 2026年開成算数入試分析

従来の「速さ」が数値計算を主体とする問題だったのに対し、2026年度の「点の移動」は図形上の位置を時刻ごとに追跡する視覚的な問題です。速度を扱う点では共通しますが、解法の軸が「式を立てる」から「図を描いて位置を特定する」にシフトしています。

この変化は、開成算数が「計算技能を問う試験」から「思考プロセスを記述で問う試験」へと深化していることを示すシグナルとも読めますが、2027年度にも同型の出題が続くかどうかは現時点では判断できません。

「速さ」の4大系統 ― 解法の体系整理

中学受験算数における「速さ」は、大きく4つの系統に分類できます。開成志望者が対策する際の整理として、各系統の特徴と開成での出題傾向を並列に示します。

系統1: 旅人算

2つ以上の動く物体が出会う・追いつく・離れる問題。開成で最頻出の速さ系統です。

解法の軸:

  • 出会い算(反対方向に進む): 距離÷(速さ1+速さ2)

  • 追いつき算(同方向に進む): 距離÷(速さ1−速さ2)

  • ダイヤグラム(距離を縦軸、時間を横軸にとったグラフ)

開成での出題傾向: 単純な旅人算のまま出ることは少なく、比の変化・相似・条件分岐と組み合わせた複合問題として出される傾向があります。2023年度大問1の「ウサギとカメ」旅人算は、2023年が易化年だったため比を使わず解ける例外的な出題でした。

系統2: 通過算

電車などの長さのある物体が、地点・橋・他の電車を通過する時間を求める問題。

解法の軸:

  • 地点通過: 電車の長さ÷速さ

  • 橋通過: (橋の長さ+電車の長さ)÷速さ

  • 他電車通過: 相対速度の考え方

開成での出題傾向: 通過算単独での出題は近年少なく、旅人算と組み合わされた形で出ることが多い傾向があります。

系統3: 流水算

川を上る船・下る船など、水の流れの中での速さを求める問題。

解法の軸:

  • 上り速度 = 静水速度 − 流速

  • 下り速度 = 静水速度 + 流速

  • 往復時間の計算

開成での出題傾向: 単独での出題は稀ですが、速さの比の考え方として出題されることがあります。

系統4: 時計算

時計の長針と短針のなす角度・重なる時刻・一直線になる時刻を求める問題。

解法の軸:

  • 長針の速度: 毎分6度

  • 短針の速度: 毎分0.5度

  • 相対速度: 毎分5.5度

開成での出題傾向: 単独での出題は少なく、出題される年度は稀ですが、解法を知っていれば確実に得点できる単元として位置付けられます。

開成の速さに特徴的な「比との融合」

開成算数の速さ問題で最も特徴的なのは、速さと比の組み合わせです。距離・時間・速さをそのまま計算する問題は少なく、登場人物の速度比・距離比・時間比を使って解く問題が頻出します。

典型パターン

パターンA: 速度比が与えられ、距離・時間を求める

例: 「AとBの速度比が3:2。同時にスタートして1200m先のゴールに着いたとき、AはBより何分早く着くか」

この型では、速度比3:2なら時間比は2:3(速さと時間は反比例)という関係を使います。

パターンB: 時間比・距離比から速度比を逆算する

例: 「AがBに追いついた時点での両者の距離の比が5:3だった」という情報から、速度比や時間比を逆算する問題。

パターンC: グラフ(ダイヤグラム)での交点を求める

距離-時間グラフ上で2本の直線が交わる点から、出会う時刻・場所を相似で求める問題。開成算数の速さ応用で最頻出の形式です。

講師視点(開成卒・東大理I、要・実講師差替え)

「速さで伸びる子と伸び悩む子の差は『比で考える習慣があるかどうか』に集約される印象があります。指導していて、速さの式を覚えて使うレベルから『速度比=時間比の逆』という比の発想に切り替わった瞬間に、過去問の正答率が10〜20ポイント上がる子を複数見てきました」

出典: コベツバ中学受験解体新書、中学への算数(速さ特集)

速さが苦手な子の典型パターン

指導現場で見られる「速さが苦手な子」のパターンを整理します。どのパターンに当てはまるかで、対策の方向性が変わります。

パターン1: 状況整理ができない(図が描けない)

問題文を読んでも、誰がどこから何メートル進んだのか、図に起こせない子。このパターンは全学年で最も多いとされ、速さが苦手な子の約半数を占める印象です。

対策の方向性: 問題を解く前に必ず状況図を描く訓練。図が描けない問題は「まだ解いてはいけない問題」と位置付ける。

パターン2: 単位変換で間違える

「分速」と「時速」、「km」と「m」の変換ミスが頻発する子。多くの場合、計算力ではなく単位への意識でつまずいています。

対策の方向性: 解答用紙の隅に必ず単位を書く癖をつける。単位を揃えてから計算に入る習慣化。

パターン3: 比で考える発想がない

速度・距離・時間を常に具体的な数値で処理しようとして、比で考える抽象化ができない子。計算量が増えて時間が足りなくなるパターンです。

対策の方向性: 「速度比=時間比の逆」「速度比=距離比(時間が同じとき)」など、比の関係式を暗記レベルで定着させる。

パターン4: ダイヤグラムを読めない

距離-時間のグラフが出題されると手が止まる子。グラフの読み取りは別の単元として意識して対策する必要があります。

対策の方向性: 典型的なダイヤグラム問題を20〜30問集中的に解き、「グラフの交点」「傾き」「平行」の意味を身体化する。

講師視点(開成卒・東大理I、要・実講師差替え)

「速さが苦手な子を指導するとき、私は最初に『どのパターンで躓いているか』を特定する時間を取ります。状況整理ができていないのに典型問題を解かせても効果はなく、比の発想がないのにダイヤグラムを教えても理解に繋がりません。躓きの段階を一つずつ言語化することが、一番の近道だと感じています」

苦手なままで合格できるか ― 3つの判断軸

「速さが最後まで苦手なままでも開成に合格できるか」という問いへの判断材料として、3つの軸を提示します。

判断軸1: 速さ系の配点をどう想定するか

過去4年の「速さ+点の移動」の配点は20〜23.5%です。仮に速さ系で40〜50%の部分点しか取れない場合、その差分(配点17〜20点の半分にあたる9〜10点)を他単元でどう埋めるかが判断軸になります。

合格者平均は85点中55点前後。速さで稼げない分を、立体図形・場合の数・数の性質のいずれかで3〜4点上乗せできれば、合格ラインへの到達は可能です。

判断軸2: 4系統のどこで躓いているか

旅人算・通過算・流水算・時計算のうち、最頻出の旅人算とダイヤグラムが苦手なまま本番を迎えるのは戦略的に難しいとされます。一方、流水算・時計算は出題頻度が低いため、捨てる判断が成立しやすい単元です。

判断材料として、直近3ヶ月の過去問での系統別正答率を記録することが推奨されます。

判断軸3: 小6秋時点での比の理解度

速さの応用は比の理解に強く依存します。小6秋の段階で、「速度比=時間比の逆」「相似から距離比を求める」という操作が自動化されていない場合、速さ応用問題を直前期に伸ばすのは難しい水準です。

この場合、「速さの応用は基本パターンのみに絞り、比との融合問題は部分点狙いに切り替える」という戦略への切り替えが選択肢の一つになります。

速さ対策で使われている教材

開成志望者が速さ対策で用いている代表的な教材を整理します。おすすめとしてではなく、実際に使われている教材として並べます。

教材

出版

使い方(一般的な目安)

中学への算数(月刊誌)

東京出版

速さ特集号(年2〜3回)を重点的に

プラスワン問題集

東京出版

速さの典型パターン網羅

算数プラスワン問題集

東京出版

発展編。比との融合問題対策

予習シリーズ算数 6年

四谷大塚

塾の副教材

開成中学校 算数 過去10年分

声の教育社

実戦演習

出典: サカセル、コベツバ中学受験解体新書、各塾の一般的な指導

よくある誤解と事実

誤解1: 「2026年度から『速さ』は出なくなる」

事実: 2026年度は速さ単独の大問こそありませんが、速さと図形が融合した「点の移動」が大問1(20点・23.5%)で出題されました。速さ系の重要度は下がっていません。2027年度にどちらの形式で出題されるかは判断できませんが、速さの基礎学習を省略する判断は過去データから支持されません。

誤解2: 「旅人算だけ徹底的に対策すれば十分」

事実: 旅人算は速さ系で最頻出ですが、2026年度のように旅人算以外の形式(点の移動)が大問1で出題される年もあります。4系統の基本パターンを一通りカバーしておくことが、過去4年のデータから見ると合理的です。

誤解3: 「速さが苦手だと開成は諦めるしかない」

事実: 速さで部分点40〜50%でも、他単元でカバーすれば合格ラインに届く可能性はあります。詳しくは 開成中学の算数 総論記事 の「合格点の取り方」を参照。

誤解4: 「ダイヤグラムは才能のある子だけが解ける」

事実: ダイヤグラムは体系的な解法がある技能です。「傾きが速さを表す」「交点が出会いを表す」「平行線は同じ速さを表す」という読み取りルールを定着させれば、才能に頼らず解ける問題が大半です。

FAQ

Q. 速さが苦手で、小6秋から本格的に取り組み始めて間に合いますか?

A. 小6の9月〜11月は過去問演習期ですが、速さの基本4系統が定着していない場合、並行して基本教材(プラスワン問題集等)の速さ章を2周する必要があります。直前期までに応用レベルに間に合わせるのは難易度が高い水準ですが、基本パターンの定着だけでも部分点は確保できます。

Q. 速さと点の移動、どちらを重点的に対策すべきですか?

A. 2026年度は点の移動23.5%(20点)で速さ単独の大問はありませんでしたが、2027年度の配点は判断できません。過去4年では速さ系全体で20〜23.5%を占めるため、どちらか一方に絞らず両方をカバーする方針が一般的です。

Q. 速さの問題で図を描くのは必須ですか?

A. 指導現場では「図を描かずに解ける問題はごく一部」という見方が一般的です。図を描く時間は平均30秒〜1分で、その時間を省略することで計算ミスが2〜3倍に増えるため、図を描く習慣化が推奨されます。

Q. 2026年度の「真ん中影武者」問題はどう対策すればいいですか?

A. 「真ん中影武者」は2点の位置から第3の点(中点)の軌跡を追う問題です。類似の問題は 中学への算数の「点の移動」特集に掲載されることがあり、そこでの演習が一つの対策となります。ただし2027年度も同型が出るかは不明のため、特定の形式に絞った対策より、図形上の点の軌跡を追跡する基本訓練のほうが汎用性が高いと考えられます。

Q. 塾の速さの授業は毎回受けるべきですか?

A. 塾の集団授業は基本パターンの網羅には有効ですが、個別の躓きパターン(状況整理・単位変換・比の発想・ダイヤグラム)への対応は限定的です。授業の復習で詰まる単元があれば、家庭学習または個別指導での補強が推奨されます。

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*本文中の「講師視点」は、開成卒業の現役東大生講師による発言を想定した記述です。公開前に実講師の発言で差し替えることが前提となっています。*

 
 

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慶應義塾大学法学部卒。ピーター・ドラッカー経営大学院経営学修士(MBA)課程修了。テキサス州立大学ダラス校にて国際経営学博士号(Ph.D.)取得。2009年度よりバブソン大学准教授。同大学は起業家教育分野において30年連続全米1位との評価を受ける。専門領域はアントレプレナーシップ。バブソン大学では、学部生、MBA、エグゼクティブ向けに起業道を教える。東京大学特任教授をはじめ、日本国内でも多くの大学にて教壇に立つ。2022年度までCICジャパンプレジデント、ベンチャーカフェ東京代表理事、2024年よりベンチャーカフェ東京顧問。経産省J-Startup推薦委員。文科省起業教育有識者委員会メンバー。
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大学卒業後、ワークスアプリケーションズに入社。人事採用責任者として、インターン志望者数日本No.1や「後輩にお勧めしたいインターンシップ」6年連続No.1を実現し、年間応募者数を800%UPの8万人まで拡大。新卒から中途採用、職種別採用やインターン採用など多岐にわたる。スタンフォード、ケンブリッジ、オックスフォード、北京、清華、インド工科、インド情報技術など世界5地域60大学で採用を行う日本の採用活動、求職活動、産業創出に対して問題意識を持ち、解決するべく、2013年11月に独立。「戦略的リクルーティングデザイン」「次世代プロフェッショナルリクルーター」等の採用論を構築し、採用戦略や採用ブランド等のコンサルティングを外資戦略コンサルティングファームや日系トップティア企業へ行う。戦略人事を実現するために、経営者や人事担当者対象の研修を実施。個人対象には、個人価値最大化をするための成長機会の提供を行う。これまで21000名以上利用し、外資系トップティア企業就職支援で8年連続日本1位の実績を誇る。本質思考人財育成のためのビジネススクール「Alternative Careers Business School」業務と能力のミスマッチを最小化する「Alternative Internships」オルタナティブキャリア・ボーダーレスキャリアを実現する「Alternative Careers 」「Alternative Study」を企画運営する。

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