開成中学の平面図形|単独大問が消えた2026年と「他単元を下支えする技能」
*Alternative Study 編集部 | 2026年8月公開*
「平面図形は2026年に出なかったから、優先度を下げていいのか」——2026年度の開成算数で平面図形の単独大問がなくなったことを受けて、こうした疑問を持つ保護者は少なくありません。結論を先に言うと、単独大問の有無と、平面図形の技能が問われるかどうかは別の話です。
この記事では、開成算数における平面図形の出題推移・2026年度に起きたこと・解法の体系・学習優先度の判断軸を整理しました。意見や推奨は含まず、判断材料を並列で提示することを目的としています。
開成入試での平面図形 ― 3年連続12〜15%、2026年は単独大問なし
過去4年の開成算数における平面図形の出題比率です。
年度 | 平面図形の配点比率 | 備考 |
2023 | 15% | 大問2で正六角形の分割問題 |
2024 | 12% | 複合問題の一部として出題 |
2025 | 15% | 求積・相似中心 |
2026 | ―(単独大問なし) | 大問4題構成(点の移動・試行検証・立体切断・立体誘導) |
出典: 2023〜2025年はZ会受験情報ナビ・コベツバ中学受験解体新書の各年度入試分析、2026年は大問実測
2023〜2025年は3年連続で12〜15%を占めていた単元が、2026年度は単独の大問としては姿を消しました。ただし後述の通り、平面図形の技能そのものは2026年度の問題の中でも使われています。
講師視点(開成卒・東大理I、要・実講師差替え)
「平面図形は『出る・出ない』で語られがちですが、指導する側から見ると、速さのグラフも立体の断面も、最後は平面図形の処理に落ちてきます。平面図形が弱い子は、単元をまたいで失点の理由が同じであることが多い。そこに気づけるかどうかで、対策の効率が変わります」
2026年度に起きたこと ― 単独大問の消滅と技能の「吸収」
単独大問はなくなった
2026年度の開成算数は大問4題(点の移動20点・試行検証20点・立体切断22点・立体誘導23点)で構成され、平面図形を主題とする大問はありませんでした。
平面図形の技能は他の大問の中で使われた
一方で、2026年度の出題内容を見ると、平面図形の基礎技能が処理の途中で必要になる構造でした。
大問1(点の移動): 図形の辺上・内部を動く点の位置関係を追う問題で、図形の性質の理解が前提になります
大問3(小立方体の切断)・大問4(立体誘導): 立体切断では、切断面という「平面図形」の形の特定と求積が解答の中心工程です。相似・面積比の処理は平面図形の技能そのものです
単独大問の消滅を「平面図形が出なくなった」と読むか、「平面図形が他単元に吸収された」と読むかで、学習計画は変わります。この記事では両方の読み方を判断材料として提示します。
出典: コベツバ中学受験解体新書 2026年開成算数入試分析
開成レベルで求められる平面図形の解法体系
中学受験の平面図形は、次の5系統に整理できます。開成レベルでは、これらを単独で使うのに加えて、複数系統を1問の中で組み合わせる処理が求められます。
系統1: 相似(ピラミッド型・ちょうちょ型)
平行線と三角形から生まれる2種類の相似を見つけ、辺の比を確定する技術です。速さのダイヤグラム、立体切断の断面決定でも同じ操作を使うため、平面図形の中で最も汎用性が高い系統です。
系統2: 面積比(高さ共通・底辺比/相似比の2乗)
「高さが同じ三角形の面積比は底辺比に等しい」「相似な図形の面積比は相似比の2乗」という2つの原理から、複雑な図形の面積を比で処理します。実測値を出さずに比だけで最後まで進む解き方に慣れているかどうかで、処理速度が大きく変わります。
系統3: 等積変形
平行線を利用して、面積を変えずに図形の形を変える技術です。2023年度大問2の正六角形の分割問題のように、対称性の高い図形の分割・求積で威力を発揮します。
系統4: 円とおうぎ形
円周角・中心角の処理、おうぎ形の弧の長さと面積、円と多角形の複合図形の求積です。曲線部分と直線部分を分けて数える整理力が問われます。
系統5: 図形の移動(平行移動・回転移動・転がり)
図形が動いた軌跡の長さや通過範囲の面積を求める系統です。2026年度の「点の移動」は、この系統と速さが融合した形式と位置づけられます。
学習優先度の判断軸 ― 3つ
判断軸1: 「単独で出るか」と「使われるか」を分けて考える
単独大問としての出題は2026年度に途切れましたが、相似・面積比の技能は立体切断の断面処理で使われ続けています。「平面図形の学習時間」を削る判断をする場合でも、系統1(相似)と系統2(面積比)は立体図形対策の一部として残る、という構造は押さえておく必要があります。
判断軸2: 2023〜2025年型への備えをどこまで持つか
2027年度に平面図形の単独大問が復活するかは判断できません。過去4年のうち3年は12〜15%で出題されていた実績があるため、「復活する前提で12〜15%相当の対策を維持する」選択肢と、「2026年型が続く前提で立体・速さ系に寄せる」選択肢の両方が成り立ちます。どちらに寄せるかは、お子さんの他単元の仕上がり次第です。
判断軸3: 失点の原因が平面図形にあるか
立体切断や点の移動で失点している場合、原因が立体・速さの理解にあるのか、その途中の平面図形の処理(相似の発見、面積比の計算)にあるのかを切り分けると、対策すべき場所が変わります。過去問の失点分析で「どの工程で止まったか」を記録すると、この切り分けができます。
講師視点(開成卒・東大理I、要・実講師差替え)
「『立体が苦手』と相談に来る子の答案を見ると、切断面の特定まではできていて、そのあとの相似計算で崩れているケースがかなりあります。これは立体の問題というより平面図形の問題です。単元の名前で苦手を判断すると、対策の的が外れることがあります」
平面図形対策で使われている教材
開成志望者が平面図形対策で用いている代表的な教材を整理します。おすすめとしてではなく、実際に使われている教材として並べます。
教材 | 出版 | 使い方(一般的な目安) |
プラスワン問題集 | 東京出版 | 相似・面積比の典型パターン定着。小6夏までに2周 |
算数プラスワン問題集 | 東京出版 | 最難関向け発展編。複合問題への対応 |
中学への算数(月刊誌) | 東京出版 | 平面図形特集号を重点的に |
開成中学校 算数 過去10年分 | 声の教育社 | 平面図形が出た年度(2023〜2025)の重点周回 |
出典: サカセル、コベツバ中学受験解体新書、各塾の一般的な指導
よくある誤解と事実
誤解1: 「2026年に出なかったので平面図形は捨てていい」
事実: 単独大問は2026年度にありませんでしたが、2023〜2025年は3年連続で12〜15%出題されており、1年の空白から「もう出ない」と判断する材料はありません。また、相似・面積比は立体切断の断面処理で使われ続けています。捨てる判断は、技能が他単元に波及する構造まで含めて行うものです。
誤解2: 「平面図形はセンスの単元」
事実: 開成レベルの平面図形は、相似の2型・面積比の2原理・等積変形といった有限の道具の組み合わせで構成されています。補助線も「平行線を引く」「相似を作る」など目的から逆算する型があり、ひらめき待ちの学習より型の定着のほうが再現性があります。
誤解3: 「立体図形ができれば平面図形は自動的にできる」
事実: 順序は逆です。立体切断の解答工程には断面(平面図形)の特定と求積が含まれ、平面図形の技能が立体の得点を下支えします。平面図形が固まっていない状態で立体の応用に進むと、失点の原因が特定しにくくなります。
FAQ
Q. 平面図形は2027年度に復活しますか?
A. 判断できません。2023〜2025年は3年連続で12〜15%出題され、2026年は単独大問がありませんでした。復活する場合としない場合の両方に備えるなら、相似・面積比(立体対策と共通する系統)を優先的に維持し、円・移動などは基礎レベルを保つ、という配分が一つの選択肢になります。
Q. 平面図形が苦手です。どの系統から手をつければいいですか?
A. 波及効果の大きさで見ると、系統1(相似)と系統2(面積比)が他単元(立体切断・速さのグラフ)の処理にも使われます。この2系統の典型問題を落とさない状態を作ってから、等積変形・円・移動へ広げる順序が、開成の出題構造に沿っています。
Q. 2023年度の正六角形の問題は解けるべきですか?
A. 2023年度は算数全体が大幅に易化した年で、大問2の正六角形の分割も開成としては取り組みやすい水準だったと分析されています。現在の実力確認というより、等積変形・対称性の練習素材として使うのが適しています。得点率の基準には2023年度を使わないでください。
Q. 平面図形の単独対策にどのくらい時間を割くべきですか?
A. 一律の答えはありません。判断材料としては、(1)過去問での失点が平面図形の処理工程で起きているか、(2)立体・速さ系の仕上がり、(3)残り期間、の3点です。失点分析で平面図形起因の失点が続いているなら、単元名にかかわらず相似・面積比の補強が優先になります。
Q. 図形問題で補助線が思いつきません。
A. 補助線には「平行線を引いて相似を作る」「頂点を結んで面積比に持ち込む」「対称の軸で折り返す」といった目的別の型があります。思いつきを待つのではなく、型を先に覚えて「この問題はどの型か」を判定する練習に切り替えると、再現性が出ます。典型問題集(プラスワン等)の2周目で、解く前に型を宣言してから解く方法が定着に有効です。
関連記事
開成中学の算数 配点・6年の傾向・対策の全体像 ― 算数サブピラーハブ
開成算数の頻出単元ランキング|2023〜2026年の配点実測で見る学習の優先順位
開成中学の立体切断|出題頻度・基本3ステップ・2026年度分析
開成中学の速さ・点の移動|4年の出題傾向と3つの判断軸
開成中学の過去問の使い方|10年分×3周を最大効率で回す完全ロードマップ
答案を持ち込める無料相談
この記事で整理した内容が、お子さんの答案ではどうなっているか——失点がどの工程で起きているかを、実物の答案をもとに一緒に確認する無料相談を行っています。
お持ちいただくもの: 直近の模試・過去問の答案(あるもので結構です)
相談で行うこと: 失点の類型を特定し、残り期間で何を優先するかを整理します
担当: 開成卒を含む東大生講師
営業の電話は行っていません。相談のみのご利用も可能です
Alternative Studyは、東大生講師による難関校特化のオンライン個別指導です。
*本記事の数値データは、開成学園公式入試結果・コベツバ中学受験解体新書・Z会受験情報ナビから収集したものです。2026年度の大問構成は実測配点(20/20/22/23点)に基づきます。*
*本文中の「講師視点」は、開成卒業の現役東大生講師による発言を想定した記述です。公開前に実講師の発言で差し替えることが前提となっています。*





