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開成中学の倍率はなぜ2.6倍で安定するのか|6年推移と合格者442名の構造分析

  • AlternativeStudy編集部
  • 16 時間前
  • 読了時間: 13分

最終更新日: 2026-04-22

執筆: Alternative Study 編集部

監修: 開成中学校卒業生・東大生講師(Alternative Study所属)

この記事の結論

開成の実質倍率は6年間で2.5〜2.9倍の範囲で安定しており、定員300名に対し442名合格(2026年度)する歩留まり構造がその理由です。

この記事はこんな方におすすめ

  • 開成中学の倍率の実数を知りたい保護者

  • 応募倍率と実質倍率、どちらを見ればいいか迷っている方

  • 定員300名なのに400名以上合格する理由を知りたい方

目次

  1. 開成中学の倍率 2021〜2026年度推移

  2. 応募倍率と実質倍率の違い

  3. 合格者442名と定員300名のギャップを生む構造

  4. 受験率(出願→受験)が示す志願者の本気度

  5. 倍率が安定している3つの理由

  6. 男子難関校との倍率比較

  7. 倍率が下がれば合格しやすくなるのか

  8. 講師コラム|倍率の数字より大切な視点

  9. よくある質問

  10. 関連記事

1. 開成中学の倍率 2021〜2026年度推移

開成中学校の入試倍率を、出願・受験・合格の3つの数字とともに過去6年分で確認します。

年度

募集

出願

受験

合格

応募倍率

実質倍率

欠席率

2021

300

1,243

1,051

398

3.12

2.64

15.4%

2022

300

1,206

1,050

416

2.90

2.52

12.9%

2023

300

1,289

1,193

419

3.08

2.85

7.4%

2024

300

1,259

1,190

424

2.97

2.81

5.5%

2025

300

1,234

1,146

431

2.86

2.66

7.1%

2026

300

1,272

1,175

442

2.88

2.66

7.6%

(出典: 開成学園公式 入試状況・結果)

  • 応募倍率 = 出願者数 ÷ 合格者数

  • 実質倍率 = 受験者数 ÷ 合格者数

  • 欠席率 = (出願 − 受験) ÷ 出願

6年平均は以下の通りです。

  • 応募倍率平均: 2.97倍

  • 実質倍率平均: 2.69倍

  • 欠席率平均: 9.3%

実質倍率は 2.52〜2.85倍の範囲 で、極めて安定しています。6年間で最大でも0.33倍の差しかなく、開成受験者の競争環境は年度間で大きく変動しません。

2. 応募倍率と実質倍率の違い

中学受験で「倍率」と言われるとき、応募倍率実質倍率の2種類があり、両者には明確な違いがあります。

2.1 定義の違い

応募倍率は、出願者数を合格者数で割った数字です。出願さえすれば分母に含まれます。

実質倍率は、実際に試験を受けた受験者数を合格者数で割った数字です。出願しても試験日に来なかった人は除外されます。

2.2 開成の実データでの差

2026年度の開成を例に取ります。

  • 応募倍率: 1,272 ÷ 442 = 2.88倍

  • 実質倍率: 1,175 ÷ 442 = 2.66倍

差は0.22倍、約8%です。受験者の感覚的な競争率としては、実質倍率の方が実態に近い数字です。なぜなら、試験会場に来なかった人とは実際には戦っていないからです。

2.3 どちらを見るべきか

開成のような試験日が固定されている最難関校の場合、実質倍率を主な判断材料にするのが正解です。応募倍率は「表面上の人気度」を示しますが、実際の競争相手は試験会場に来る人たちだけです。

ただし、倍率を他校と比較するときは同じ指標で揃える必要があります。進学メディアやランキングサイトが示す倍率は、多くの場合「実質倍率」ですが、サイトによって混在しているため注意が必要です。

3. 合格者442名と定員300名のギャップを生む構造

2026年度の開成は、募集定員300名に対し合格者442名(+142名、定員比147%)を発表しています。なぜ定員の1.5倍近くを合格させるのか?この構造を理解することが、開成の倍率を正しく読むカギです。

3.1 合格者数の6年推移

年度

合格者数

定員比

2021

398

132.7%

2022

416

138.7%

2023

419

139.7%

2024

424

141.3%

2025

431

143.7%

2026

442

147.3%

合格者数は6年間で一貫して増加傾向です。2021年の398名から2026年の442名まで、+44名(+11.1%)増えています。

3.2 増加の理由は「辞退率の上昇」

合格者が定員より多いのは、合格後に他校へ進学する受験生(辞退者)がいるためです。具体的には以下のケースです。

  1. 2/3 筑波大学附属駒場(筑駒)との併願者: 開成合格でも筑駒合格すれば筑駒を選ぶ層が一定数

  2. 2/2 聖光学院1回や渋谷教育学園渋谷との併願者: 神奈川・共学志向の層が聖光や渋渋を選ぶ

  3. 帰国子女や海外進学希望者: 合格後に海外校や国際系を選ぶ稀なケース

SAPIXの塾生データ(リセマム経由)では、開成合格者の約4割が筑駒を併願受験していると報告されています。筑駒に合格した受験生が開成を辞退するため、開成は事前に定員を超える合格者を出す必要があります。

3.3 辞退率が高まる傾向

2021年の合格者398名から2026年の442名へ増加しているのは、辞退率が高まっていることを意味します。

もし辞退率が一定だとすれば、入学者を300名維持するために出す合格者数もほぼ一定になるはずです。実際には合格者が11%増えており、これは開成合格者のうち、他校(主に筑駒)へ進学する比率が少しずつ高まっている可能性を示唆しています。

2022年の東大合格実績で筑駒が70名超を出したあたりから筑駒の人気が高まり、開成との併願→筑駒選択のパターンが増えた可能性が指摘されています。

3.4 受験生への影響

合格者数が増えていることは、受験生にとってやや有利に働きます。2021年と2026年を比較すると、同じ1,200人前後の受験者数でも合格者が44名増えたため、受験者1人あたりの合格確率は向上しています。

  • 2021年: 1,051受験 / 398合格 → 37.9%(受験者全体の合格確率)

  • 2026年: 1,175受験 / 442合格 → 37.6%

受験者数が若干増えたため実質倍率はほぼ変わらずですが、受験者が増えても合格者も増えるため、絶対的な競争率は大きく悪化しない構造になっています。

4. 受験率(出願→受験)が示す志願者の本気度

出願したものの、実際の試験日に来なかった受験生の比率(欠席率)を6年分で見ると、開成受験者の本気度が見えてきます。

4.1 欠席率の6年推移

年度

出願

受験

欠席者

欠席率

2021

1,243

1,051

192

15.4%

2022

1,206

1,050

156

12.9%

2023

1,289

1,193

96

7.4%

2024

1,259

1,190

69

5.5%

2025

1,234

1,146

88

7.1%

2026

1,272

1,175

97

7.6%

4.2 2021〜2022年は欠席率が異常に高い

2021年15.4%、2022年12.9%という欠席率は、開成としては異例の高さです。この2年間は新型コロナウイルスの影響が大きく、体調不良や濃厚接触の回避のため試験を辞退した受験生が多かったと推察されます。

2023年以降は5〜8%の範囲に収まっており、これが平時の欠席率と見るのが妥当です。

4.3 平時7〜8%という数字の解釈

開成の欠席率7〜8%は、他校と比較して低い水準です。一般的な中学入試では欠席率15〜20%が標準的で、最難関校では10%前後です。

開成の欠席率が低い理由は以下です。

  1. 試験日が2月1日(東京入試初日)で唯一の日程: 他の日程がないため、ここで受けないと開成にチャンスがない

  2. 受験料28,000円の高さ: 気軽に出願する受験生が少ない

  3. 志願者の本気度が高い: SAPIXで長期対策してきた受験生が中心のため、体調管理も徹底

開成を出願した受験生の9割以上が実際に受験会場に来るという事実は、開成の志願者層の真剣さを示しています。

5. 倍率が安定している3つの理由

開成の実質倍率が6年間で2.5〜2.9倍に収まる安定性は、以下の3つの構造的要因によります。

5.1 志願者の質が一定

開成を志望する小6受験生は、首都圏の最上位層(SAPIXα、早稲アカNN開成、四谷大塚最難関コース、グノーブル上位)に集中します。この層は小4・小5から長期的に中学受験対策をしている家庭が中心で、年度による受験者レベルの変動が小さく保たれています。

新規参入者が急増しないため、母集団の規模も急に膨らむことがありません。

5.2 合格者数の調整機能

前述の通り、開成は入学者300名を確保するために辞退率を見込んで合格者数を調整しています。仮に受験者が1,200名の年と1,300名の年があっても、合格者も比例的に調整されるため、実質倍率は大きくブレません。

5.3 試験日の固定

開成の試験日は毎年2月1日(東京入試初日)で固定されています。試験日が動かないため、他校との日程重複による志願者の流出入が起きず、安定した母集団が維持されます。

他校では「2月1日午後入試を新設した」「2月3日の試験を廃止した」などで倍率が動くことがありますが、開成はこうした変動要素がほぼありません。

6. 男子難関校との倍率比較

開成の倍率を男子難関校と比較すると、開成の位置が明確になります。

6.1 2026年度男子難関校の倍率

校名

試験日

募集

受験

合格

実質倍率

筑波大学附属駒場

2/3

120

631

129

4.89

聖光学院 2回

2/4

50

562

81

6.94

聖光学院 1回

2/2

175

684

230

2.97

渋谷教育学園幕張 1次

1/22

215

2,141

735

2.91

開成

2/1

300

1,175

442

2.66

麻布

2/1

300

826

363

2.28

駒場東邦

2/1

240

589

295

2.00

武蔵

2/1

160

522

205

2.55

(出典: 各校公式発表、インターエデュ。開成以外は目安値のため、公開前に各校公式で最終確認が必要)

6.2 開成の倍率は男子最難関としては低い

実質倍率2.66倍は、筑駒(4.89倍)や聖光2回(6.94倍)より大幅に低い数字です。一見すると「開成は筑駒より簡単?」と見えますが、実態は逆です。

倍率が低い理由は、合格者数を多めに出しているからです。定員300名の開成が442名合格を出すのに対し、筑駒は定員120名に対し129名合格(+7.5%のみ)、聖光2回は定員50名に対し81名合格(+62%)です。

筑駒は日程が2/3で「開成合格後の挑戦校」として位置付けられるため、辞退率が低く、合格者数を絞れます。この結果、倍率が高く出るのです。

6.3 倍率で難度を判断してはいけない

開成の倍率2.66倍、麻布の倍率2.28倍を見て「麻布の方が合格しやすい」と判断するのは誤りです。

  • 開成SAPIX偏差値: 68

  • 麻布SAPIX偏差値: 60

偏差値で8ポイントも差がある両校で、倍率だけを見て難度を判断すると必ず失敗します。倍率はあくまで参考指標で、合格難度は受験者層のレベル(偏差値)で測るべきです。

7. 倍率が下がれば合格しやすくなるのか

「倍率が下がる年は狙い目」という言説を聞くことがあります。開成の場合、これは正しいでしょうか?

7.1 倍率と合格最低点の相関

合格最低点の記事で示した6年分のデータと倍率を重ねます。

年度

実質倍率

合格最低点

得点率

2021

2.64

201

64.8%

2022

2.52

199

64.2%

2023

2.85

237

76.5%

2024

2.81

216

69.7%

2025

2.66

202

65.2%

2026

2.66

205

66.1%

7.2 倍率と合格ラインに明確な相関はない

最も倍率が低い2022年(2.52倍)の合格最低点は199点で、最も倍率が高い2023年(2.85倍)の237点と比べると38点差があります。しかしこの差は倍率の影響というより、2023年の算数易化による全体の得点上昇が主な要因です。

他の年度を見ても、倍率2.64倍(2021)で合格最低点201点、倍率2.66倍(2026)で205点と、倍率の差がほぼなくても合格最低点は4点違うように、倍率と合格最低点に強い相関はありません。

7.3 「狙い目の年」は事前に分からない

開成の場合、倍率の低下があったとしても0.2倍程度の微小変動で、受験の難度を大きく変えるものではありません。また、どの年の倍率が低くなるかは試験日以前には誰も予測できないため、「狙い目の年を狙う」戦略自体が成立しません。

受験生にとっての現実的な戦略は、倍率を気にせず、自分の実力を最大化することです。合格者平均点(6年平均226点、得点率約73%)を取れる実力があれば、倍率がどう動いても合格します。

8. 講師コラム|倍率の数字より大切な視点

数字としての倍率を理解したうえで、実際に合否を左右する視点をお伝えします。

8.1 倍率は「結果指標」であって「原因指標」ではない

倍率は、全ての受験が終わった後に算出される結果です。受験生が何をすべきかを示す行動指標ではありません

倍率が3倍でも、自分が合格者上位に入れる実力があれば関係ありません。倍率が2倍でも、自分が下位60%にいれば不合格です。倍率の数字を追うのではなく、自分が合格者上位に入れる実力を作ることだけに集中してください。

8.2 合格者数の増加は受験生に有利

過去6年で合格者が398→442名に+44名増えたことは、受験生にとって絶対的に有利な変化です。同じ実力なら、合格者が多い年度の方が合格しやすくなります。

ただし、合格者が増えたからといって開成が易しくなったわけではありません。合格者上位に入るためのSAPIX偏差値65以上、算数合格者平均60点以上という基準は、6年間で変わっていません。

8.3 受験日に来ない人の存在を意識する

欠席率7〜8%というのは、出願した約90人に1人は受験会場に来ないということです。この数字の意味は、「試験会場に座っているだけで、実質的に応募者全体の8%を上回っている」ということです。

試験当日の体調管理と、会場にきちんと辿り着くことは、それ自体が競争優位の一部です。前日の早寝、当日の食事、試験会場までの経路確認など、当たり前のことを確実にこなすことも受験戦略の一部です。

8.4 倍率は進学先選定の一要素でしかない

保護者が学校選びで倍率を見ることが多いですが、倍率は進学先としての学校の魅力とは無関係です。

  • 生徒が6年間を通じて幸せに過ごせるか

  • 大学進学実績が本人の進路希望に合うか

  • 校風が本人の性格に合うか

  • 通学時間・経済的負担が家族に合うか

これらが学校選びの本質であり、倍率が2.6倍でも2.9倍でも、学校自体の価値は変わりません。倍率の数字に振り回されず、学校の実態を見て志望校を決めることが最も大切です。

9. よくある質問

Q1. 開成の倍率は何倍ですか?

A. 2026年度の実質倍率は2.66倍(受験1,175名÷合格442名)、応募倍率は2.88倍(出願1,272名÷合格442名)です。過去6年の実質倍率は2.52〜2.85倍の範囲で、6年平均は約2.69倍です。最難関男子校の中では比較的低い倍率ですが、これは合格者数を定員300名の約1.5倍である442名出しているためで、難度が低いという意味ではありません。

Q2. 応募倍率と実質倍率、どちらを見るべきですか?

A. 実質倍率を主に見てください。出願したものの試験日に来なかった人とは実際には戦っていないため、受験生の体感に近いのは実質倍率です。ただし、他校と比較するときは同じ指標で揃える必要があります。進学メディアやランキングサイトで示される「倍率」は、多くの場合実質倍率です。

Q3. 定員300名なのに合格者が442名もいるのはなぜですか?

A. 合格者の一部が辞退して他校(主に2月3日の筑波大学附属駒場)に進学するためです。SAPIXの塾生データでは、開成合格者の約4割が筑駒を併願受験していると報告されており、筑駒合格者が開成を辞退するケースが一定数あります。開成は入学者300名を確保するために、辞退率を見込んで定員の約1.5倍の合格者を出しています。

Q4. 倍率が下がった年は合格しやすいですか?

A. 明確な相関はありません。6年間の合格最低点と倍率を比較すると、倍率の上下と合格ラインの上下に一貫した関係は見られません。倍率の変動幅も6年間で0.33倍程度と小さいため、「倍率が低い年を狙う」戦略は現実的に成立しません。受験生が取るべき戦略は倍率を気にせず、自分の実力を最大化することです。

Q5. 欠席率が低いのはなぜですか?

A. 開成の欠席率が平時7〜8%と低い理由は、試験日が2月1日の1日だけで、受けなければ開成に進学するチャンスがないこと受験料28,000円が比較的高いことSAPIXや早稲アカNNで長期対策してきた本気の受験生が中心であることの3つが主な理由です。2021年と2022年のみ欠席率が12〜15%と高くなったのは、新型コロナの影響が大きかったためと考えられます。

10. 関連記事・まとめ

本記事のまとめ

開成の実質倍率は2021〜2026年度の6年間で2.52〜2.85倍の範囲で安定しています。この安定性は、志願者層の質が一定であること、合格者数を辞退率に応じて調整していること、試験日が固定されていることの3つの構造によるものです。

定員300名に対し442名(2026年度)合格する構造は、合格者の一部が筑駒などへ辞退することを見込んだものであり、6年間で合格者数は398→442名に増加しています。これは受験生にとって有利な傾向です。

倍率の数字と合格最低点・合格難度に強い相関はありません。倍率が2.5倍でも2.9倍でも、合格者上位に入る実力を作ることが最も重要です。SAPIX偏差値65以上、算数合格者平均60点以上という基準は、倍率が変わっても変わりません。

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  • 開成学園公式「入試状況・結果」 (kaiseigakuen.jp/admission/exam/result/)

  • 開成学園公式「過去の入試結果」 (kaiseigakuen.jp/admission/exam/result/pastexam/)

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慶應義塾大学法学部卒。ピーター・ドラッカー経営大学院経営学修士(MBA)課程修了。テキサス州立大学ダラス校にて国際経営学博士号(Ph.D.)取得。2009年度よりバブソン大学准教授。同大学は起業家教育分野において30年連続全米1位との評価を受ける。専門領域はアントレプレナーシップ。バブソン大学では、学部生、MBA、エグゼクティブ向けに起業道を教える。東京大学特任教授をはじめ、日本国内でも多くの大学にて教壇に立つ。2022年度までCICジャパンプレジデント、ベンチャーカフェ東京代表理事、2024年よりベンチャーカフェ東京顧問。経産省J-Startup推薦委員。文科省起業教育有識者委員会メンバー。
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